オメガバース

【stardust#3】梓の牽制方法がエグ過ぎた

次の日。朝起きたら梓はいなかった。

正直ホッとして僕は起きた。身支度をする。
梓の奴、昨日の今日で早速後悔してるんだろう。気まずいから先行ったんだろうな。

いつもは煩いくらい一緒に学校行こうって言ってくるのに、今日に限っていないなんておかしい。

学校で、『やっぱ番の件忘れて!』とか謝られてそれで終わるんだろう。

深入りする前で良かったじゃないか。
僕から梓を振るなんて出来なかっただろうし。
手間が省けたってことで・・。

傷ついてなんかいないさ!

ネクタイを結ぶ手が何だか震えているのは、きっとあれだ、まだ眠たいからだ。

うなじの痕だってどうせ直に消える・・。

 

 

高校の廊下を憂鬱な気持ちで歩きながら考える。

梓に会ったら何て話しかければ良いんだろう?
やぁ!って朗らかに?振られに行くのに?

あはは・・。何て哀しい朝なんだろう。

って思ってたら肩をバン!って誰かに叩かれた。振り返ったら同級生。

「おいクズ!お前、梓の番になったって本当か!?」

あまりにもデカイ声。周りの子達が嘘でしょ!?って騒ぎ出して・・!

「いや、何、何の話!?」
すっとぼける、そりゃそうだ!こんなの更に虐げられる材料になるに決まってる!

「それ俺も今朝聞いたー!ベータのくせに何!?クズのくせに!」
「幼馴染だからってしゃしゃり出るな!」
「同室だからって灰原君に無理矢理手出したんでしょどうせ!?灰原君が優しいからって、このクズ!」

あっという間に囲まれて、クズのくせに、ベータのくせにの大合唱。ヤバい、超ヤバい!

「いや、皆聞いてよ!」
「もう学校出てけよクズ!」
「そんな無茶な!」
「じゃあ灰原から離れろよ!」

「いや、だから僕のただの幼馴染!番っていうのは・・!」

仮の話!という言葉は大きな手に塞がれた。

「そうだよ!ひかりは俺の番だ!」

割って入ってきたのは梓。庇う様に抱きしめられて、僕は硬直した。そんな、こんな公衆の面前で何を!?

「でも、灰原くんクズと番だなんて!」

めげない同級生に梓は言った。

「そのクズって呼び方辞めろ!またそう呼んだら許さないからな!」

その長身を見上げる。朝陽がその色素の薄い髪を更に薄茶色にしていた。綺麗な容姿にキッとした表情にドキンとしてしまった。

「灰原君・・でも・・!」
梓に怒られてしゅんとした同級生。少し怯えている様だ。梓が来てくれたおかげで場の流れは変わったことだけはありがたかった。

よしこのまま解散・・と思ったら。

「ひかり。納得いってないみたいだから皆に証拠見せてあげようよ?」

まさかと思ったら、梓は僕のネクタイとワイシャツを剥ぎ始めた。

「や、やめろおおお!!」
めちゃくちゃ暴れても梓から逃れられなかった。器用に剥いていき、あっけなく僕のうなじは顕になった。

その昨晩ガジガジ噛まれて青あざになったうなじ・・。

ギヤアアア!!と悲鳴のあがる廊下。ごめん皆、変なモン見せて・・!

「どう?俺の番って分かった?」
「ちょ、ちょっと梓こっち来て!!!!」

何故か得意気な梓を連行して、僕はその場から逃げた。はだけたワイシャツをかき合わせて・・。

 

屋上で。

「いや梓!!!何なの!!?」
「何って」
「何でバラしてんの!?」
「自慢したいから」
「誰が羨ましいか!!!僕なんかが番で!!!!」

キレ過ぎてシャウトしてしまった。こだまでも聞こえてきそうだね、くそ!

「あとっ僕のうなじ皆に見せるとか辞めて!次やったら絶交だからね!!!」
「・・っわかったよ」

しぶしぶ頷いた梓。ふと気づいた。

「梓。もしかして朝居なかったのって」
「先に言いふらすためだけど?ひかりに先手を打たれたくないからさ」

「先手って何」
「仮の番です、僕は練習台ですって言われちゃたまんないからね。俺が先に言えば皆俺を信じる」
「く・・!」

好感度の差が恨めしかった。そういうことだったのか・・!!!

あ、と気づいた様に梓は目をキラと輝かせて言った。

「もしかして学校一緒に行きたかった!?番だもんね!ごめんね先行って!?」

「違う違う!いや、ちょっと気になっただけだから!」

・・振られるものと思って登校したから、肩透かし。内心ホッとしたのも束の間。

「ひかり」

じっと見つめられてドキッとした。綺麗な顔。風が吹く。屋上は寒い。梓のさらさらな髪。

「な、何?」
「俺たち番の練習台なんだよね?」
「う、うん」
「じゃあ練習台らしいことして良いんだよね?」

何する気だ、と言おうとした言葉はまたも塞がれた。今度は唇で。

抱きしめられてキスされた。背後は壁。それはあまりに情熱的で、ジタバタ暴れるのを忘れる程で・・
鼓動が跳ねる。僕の心臓は、このお付き合いに持つのだろうか。

 

「ひかり、顔真っ赤」

顔を離してふふと笑う梓。

「ちなみにこの屋上、あっちの校舎からよく見えるんだよね。キスしてたって噂になるといーな♪」

「うわっサイテー!!」

「噂になる練習してるだけだも〜ん」

開き直ったのか、懲りない梓だった。
しかもそれどころか!

「・・それに、もっと先の練習もしたいし」
「え・・」

突然、未だかき合わせただけのワイシャツに手をかけられた。ぐいとまた開かれて、うなじだの肩だのが顕になる。油断してた!

今度こそジタバタと暴れた!他の人から見える場所だってのに、冗談じゃない!

「辞めろって!!!!聞けよ!!!」

「辞めない」

梓はあぐと大きく僕の首に噛みついた。痛みで呻かずにいられなかった。

「ここでするよ、番う練習」

間近に迫る梓の美貌はクラクラする程。

撃ち抜かれる様な声音に、心のいけない部分がギュッと掴まれてしまう。

僕は・・。

 

続く

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