こんにちは!月夜です。




今回もメルマガ送っていきます( ˊ̱˂˃ˋ̱ )

前回のお題募集にお答え頂いた方、ありがとうございました。
今回のお題はコチラ!

『攻め→→→→→(←)受け
受けくんが束縛とかされてるのを気付いてない』

というわけでも今回もヤンデレです(´∀`*)

『策略家の幼馴染に再会した話』

策略家ヤンデレ攻めくん×天然受けくん。

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「菜緒〜♡結婚しよ」
「しないよ」

ペトッと機嫌よくくっついてきた歩夢を苦笑しながら引き離す。高校の朝の教室でいつもやっている僕らの茶番だった。

歩夢は小学校の時の同級生。親の転勤で転校していってしまったんだけど、またも転勤でこの街に戻ってきて、高1のこの春。僕らは再会した。

『な、な、菜緒〜!???』
入学式の時にイケメンに抱きつかれて心臓飛び出ちゃった。
『誰ですか!?』
『俺だよ歩夢!!!!』
小学生の時にイケメンだったのがさらに美男子になっててぼくはたまげた。神進化だったのだ。

僕らは元々親友だった。
小学生の時。
『菜緒。ずっと一緒にいような』
って言ってくれた歩夢の言葉が耳に蘇った。



高1で同じクラスになり、歩夢はしょっちゅう僕につるんできた。だけどちょっとやりすぎな時もあった。
ある時。同じクラスの大西くんが話しかけてきた。

「あっ菜緒!数学の宿題、どう?良ければ俺おしえ」
「菜緒は俺が教えるんで大丈夫ですさようなら!」

!?
強引に大西くんを追い払った歩夢。
「歩夢!?」
歩夢はバツが悪そうな顔をした後ヒソヒソと声を落として言ってきた。

「……大西って本当はメデューサなんだよ。間近で目が合うと石にされるから気をつけて」
「えっそうなの……?」

コク、と頷いた歩夢。知らなかった……!

「ここだけの話な。知ってる?美術室のヒトの彫刻も、あれ大西がやったんだよ」
「えっ」
「だから大西と目を合わせるの辞めな……?」
「うん……!」

それから僕は大西くんをちょっぴり避けるようになってしまった。ごめん……!


でも数学の宿題は歩夢がマンツーマンで本当に教えてくれたんで、それは本当にたすかった。
水泳の授業ではクロール教えてくれたし、家庭科の授業では包丁の持ち方を教えてくれた。
歩夢は何でも出来た。
僕は何でも歩夢に教えてもらう様になった。




歩夢は毎日毎日、本当に機嫌よく僕に絡んできた。

「な!菜緒!そういえばさあ俺たち交換ノートしよ♪」
「えっやだ」
「やだ!?」

目を剥いて驚いた歩夢。

「そ、そんなに驚くことかな??」
「俺たちはなんとまだ交換ノートをやったことがない仲なのに!?俺のこと知りたくないのか菜緒は!?俺は菜緒のことこんなに知りたいのに!?」

勢いすごい。
ってかどうだろう。歩夢のこと知りたくない訳ではないけど、すっごく知りたいかというと……。

「……え〜っと……」
「はい迷ったので菜緒の負けです今日からスタートねはいコレ」

渡されたノートはだいぶ分厚い。
表紙にデカく『菜緒・歩夢の交換ノート』ってマジックで書かれててちょっと引いた。

「え?ってかもう準備してあ」
「細かいことはどうでもいいだろ菜緒俺もう書いてあるから菜緒今日書いてきてね絶対だよ明日回収するから絶対だからな今日喋った男の名前と内容は全部書いとけよそれじゃな」
息継ぎゼロでそこまで言い切ると、これまた機嫌良さそうに歩夢は去って行った。

「歩夢……交換ノートそんなにやりたかったんだ……?」

歩夢はモテすぎて小学生の時は人との交流避けて僕としか喋らないみたいな子だったから、意外なところで妙な憧れがあるのかもしれない。
そういえば僕ら、小学生の時には交換ノートとかしたことなかったもんな。
ふむ、と頷いて僕は帰路についた。




家について交換ノートをめくってみる。

『菜緒との再会がうれしすぎて交換ノート書いた!これからよろしくな菜緒!
初めて会った時から菜緒とは大親友になれると思ってたんだ俺は。ちなみに今日の菜緒は国語の授業中にむずかしそうな顔してたからアレだろ?難しかったんだろ今度教えてやるよ』
え〜席が結構離れた僕の授業中の表情まで把握してるの?すごい、歩夢って気が利くんだなあ。
続きを読む。
『菜緒、以下の質問に答えてな。
・今の体重
・服のサイズ
・今日喋った男の名前
・喋った内容
・生活上の悩み全般何でも
菜緒が悩んだり辛い思いを抱え込まないように俺は菜緒のことを何でも把握しときたいんだ(^^)』

あっなるほど〜。そっかあ歩夢ってやさしいんだな。え〜っと……。

僕は書けと言われたことをちゃんと書いた。


翌日交換ノート返したら、歩夢はすっっっごい嬉しそうな顔をした。
交換ノートは続いた。
交換ノートのどんな些細な内容でも歩夢は記憶してて、それはちょっと怖って思ったりはしたけど。
交友関係は大分把握されてて、『アイツと喋るな』『コイツは危険だから』と大分制限をかけられてしまって、随分友達が減った様な気がする。

でも歩夢はいいやつなんだ。僕のことをこんなに気にかけてくれる人なんていない。

■■■

「菜緒!誕生日おめでとう!これプレゼント」
「え!ありがとう〜わあ〜かわいい服…!?」

なんかすごい柄と色な気がする。カラフルな牛とチーズとロールパン柄のトップス。何言ってるか分からないだろうけど、とにかくそういう摩訶不思議な柄だった。

「着てみて」
「え!?」
「はやく」

有無を言わさない圧に負けて学校で着替えた。

「……え、これヤバ」
「かわいい〜!!!!スゲー良いよ菜緒!!!!」

超うれしそうな歩夢。
歩夢はスーパーオシャレさんで、サングラスかけちゃう系のイケメンだし、きっと歩夢がこれをかわいいというならきっとそうなのだ。

「え、えへ……」
「それ毎日のように学校に着てきて。絶対な」
「ええー!!!?やだ」
「やだじゃねえ」

ウチの高校は確かに私服だけど。
これは…ちょっとどうなのかな…!!!!



「〜♪」
非常に機嫌の良い歩夢。
僕が言われた通り、もらったトップスを着て学校に通ってきてるからだ。
一緒に校内を練り歩いてくれるのは、良いんだけどさ……。
なんか若干周りからクスクスされてる気がしなくもない。ってかされてる。
元々引っ込み思案な性格な僕だけど、さらに友達が出来にくくなった気がする……!

「菜緒はかわいいなあ」
歩夢は満足そうにそう言った。

■■■

それから日が経ち、僕らは高校2年生となった。

「菜緒。勉強どう?」
「あ、歩夢。あのね、数学分かんなくて……」
チラチラと見上げる。勝ち誇ったような顔で歩夢は言った。
「良いよ。俺んちで勉強しよ」



将来のこと考えるなら絶対理系!やっぱり手に職は安心だ!ホントマジ絶対!!!って歩夢に強く説得され、僕は苦手な理系コースに進学していた。
が、サッパリ分からない。
赤点が続くと下手すると停学になるんだ。
甘い考えで理系コースを選択した自分を呪った。

だけど唯一の救いは、歩夢も同じ理系コースで聞けば何でも教えてもらえたこと。歩夢の家で何時間でも。手取り足取り。勉強に疲れた僕の肩とか腰まで揉んでくれることもあった。
「うう、歩夢。いつもありがとう……!」
「良いって。俺ら親友じゃん?同じ大学行こうな!」
そうニコ、と笑う歩夢が随分まぶしく見えた。

■■■

「あ、菜緒。コレ注文間違えてるよ」
「え!?あ、すす、すみませんお客様!」

更に日が経ち、僕らは同じ大学へと無事入学し、そして同じバイトをしていた。
スタバのバイト。同時期に入った歩夢はもう仕事ぜ〜んぶ覚えてるのに、僕はまだまだミスしてばかり。

それをいつもシフト一緒に歩夢がカバーしてくれていた。
「あああ歩夢。本当いつもごめんありがとう」
「いーって。一緒に頑張ろうな!」

これまた爽やかに笑う歩夢。こんな聖人に迷惑をかける僕。胸が痛んだ。
休憩時間の時に切り出した。

「あ、あのね僕。やっぱスタバのバイト向いていないかなって。こういう忙しいのはちょっとね。だから辞め」
「ダメだよ菜緒。仕事は何でも大変なんだから。逃げ癖ついたら良くないぞ」

正論でグウの音も出ない。
歩夢は何でもカバーしてくれるけど、僕が同じバイトを辞めることだけは絶対許してくれなかった。
向いてないと思うんだけど、なああ……。




何とか理系の大学には進学したものの、やっぱり難しくて難しくて、本当に毎日必死だった。
僕の勉強をサポートするって名目で、なんと歩夢は僕の一人暮らしの部屋の隣に住んでくれてて、毎日ずっと一緒に過ごしてる。

「菜緒。夜食作っといたよ」
「ありがと〜…♡♡♡」

そう言って甘えてばかりいる。歩夢の家には僕の箸すらある。部屋着もあるし、何なら専用バスタオルもある。
居心地の良い歩夢の家。
だけど……。
ピンポーン。チャイムが鳴る。
うううう。来ちゃったああああ……。

「ごめん菜緒、友達遊びに来ちゃった。入れていい?すぐ帰すから」
「うっうん、もちろん!」

がやがや現れた男女数人。ガチのイケイケ陽キャ達。歩夢が大学で作った友達。さすがって感じ。
だけどその会話には僕はまじで入れない。
きょどきょどしちゃうし。

「ねーアユ。今度クラブいこ」
「いーよ。菜緒も行くよな?」
「え!?う、うん……!?」

でもなぜか歩夢はその集団に僕を入れたがる。
(ちなみにクラブってあれだよ、踊る方だよ部活じゃなくて……!)
そのグループ内では当たり前に浮いてしまう僕。唯一マトモに話せるのは歩夢だけ。

ぼくがいる意味とは……?っていつも思ってる。
だから1回だけこのグループ苦手だなって歩夢に相談したことあるんだけど、もっと色んな人とコミュニケーション取らなきゃだろって言われて……。

それはそうなんだけど。けど、正直いやかなりツラい。
とはいえ居場所がなくなる不安から、ハッキリいやだと言えないままの最低な僕……。
なんだか情けなくて不安で、泣けてきた。皆の前では必死になって我慢していた。




皆がガヤガヤと帰っていった後。
「邪魔してごめんな菜緒。今コーヒー淹れるよ。気分転換に飲むだろ」
台所でコポコポとコーヒーの準備をする歩夢。
その背中に、僕は初めて自分から抱きついた。

「!!!」
僕は気づいてしまったんだ。
「僕、歩夢がいないと生きていけないんだ。ずっとそばにいて……」
「嬉しいよ菜緒。ずっと、ずっと一緒にいような。俺がずっと護るから、一生」




end
ーーーーーーーーーーーーーー
交友関係制限したのも、苦手な理系に進学させたのも、向いてないバイト一緒にやらせてるのも、あんまり馴染めない陽キャグループに引き込んだのも、全部歩夢だけを頼らせるため。
相手を弱らせるタイプのヤンデレくんでした。
ヤバい香りがしますね。

ちなみにダサい服着せたのはモテなくするためじゃなくて、それはただの歩夢の趣味。





それではまた!




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