こんにちは!月夜です。






お久しぶりのメルマガです。
4月になりましたね、大学生になったり社会人になったり、環境が変わられた方もいるのではないでしょうか?
新しい環境にもゆっくり慣れていけると良いですね◎

という訳で(?)今回もお送りしていきます。すみません、今回は短め配信です。

今回はちょっぴり変わり種のヤンデレ君の話です。ハッピーエンドじゃないです…!人を選ぶネタです。それでも良い方のみどうぞ。

また今回はアイスバースというネタを扱っています。詳しく知らなくても読めますが、知ってから読みたい人はこちら↓

https://dic.pixiv.net/a/アイスバース

ネタバレしないで読みたい方はこのままどうぞ!
作中で詳しく描いてないけど、いつも通り美形×平凡です。







◆好きな人を溶かしてしまうヤンデレ君の話

『や、やだ…やめて…来ないで』
那月の怯え切った声を思い出してゾクと、歓喜で背筋が震える。
那月をとうとう家に閉じ込めてしまった。長く片想いしていたから、鳥の籠に出来た感激はひとしお。

廊下を歩いていって俺の部屋のドアをギイ、と開けた。薄暗闇の部屋の中、パッとこっちを振り返った那月。大きな垂れ気味の瞳に、キュと恐怖で結ばれた唇。…俺が着させた、大きめの俺のワイシャツからすらりと伸びる白い足。
「ほらよエサだ」
ばさ、とサンドイッチに水を放り投げた。
屈辱と恐怖心でなのか、俺をすこし憎らしげに見上げた那月。唇の端は血が滲んでいる…。

好きな相手からは嫌われるのは悪くない。
それに俺はまっとうに好かれる方法を知らないし。

***

リビングに戻ってひとりテレビを見る。『1人の少年が遺体で発見され…現場には真っ赤な……友人を名乗る男から聴取を…』ニュースキャスターが何か言っている。
テレビ画面を見て俺は唸る。ふうんへえ。やっぱこういう事件て起きるもんだよなあ。痴情のもつれはこわいねえ。相手の男も殺したかった訳じゃないだろうがねえ。

でも仕方ない。生まれ持った性質というのは変えられないものなのだ。

ふいにキャアと俺の部屋から悲鳴が聞こえた。那月だ。また悪い夢でも見ているのだろう。

…きっと俺のことでも見ているのだろうな。
口の端がニヤ、と上がってしまうのを我慢できないまま俺は自室へと向かった。
那月を夢の中まで支配できていると思うのは、なんとも言えないいい気分だったのだ。

***
「那月。…那月、起きろよ」
ウンウン唸っている那月の頬をしたたかに叩く。
「う…」
しばらくすると那月は目を開けた。開けて俺を確認して悲鳴をあげた。
「俺がいやだってのか」
唇をギュッとした那月。大きな垂れ気味の瞳は涙を湛えていて、今にも溢れそうだ。
うまそうだなあと思ってその目をじっと見つめる。
「ひ……そんな、見ないで…」
ふいに目を逸らされて俺はグッサリと傷つく。見つめる権利もございませんかね、俺は。
「俺を怒らせるなよ…」
俺は那月の頬を今度はしっかりと強く叩いた。


那月には嫌われれば嫌われるほど良いんだ。
そうやっていつまでも側にいたい。

***

「俺のペットになる覚悟は出来たか」
ある日俺は那月に言った。
「や、やだ…!なるわけない…!」
「あっそ」
聞き分けないねえ。
「じゃあ俺の恋人になる覚悟は?」
「!…やっやだ!!!隆なんか…だいっきらい!!!」
含み笑いしながら言ったのがマズかったかな。イエスなんて言われる訳がねえと分かって聞く質問は、いつも少しこうやって聞きながら笑ってしまう。

俺のことを相も変わらず大っ嫌いだという那月。物理的に側においても心までは得られない。とうとう痺れを切らして俺は那月を抱いた。

***

とうとうやってしまったな、と深夜にひとりリビングで反省する。俺の大っ嫌いに拍車が掛かったことだろうよ。
なちょっとはご機嫌でもとらなけりゃ…そう思って俺は翌朝、那月のいる部屋のドアを開けた。

「なつ、き…」
そこには床一面に広がる真っ赤な水溜り。那月はいない。
俺は悟った。
「そんな…嘘だろ?那月…」
思わず跪いて水溜りに手を触れた。
「…う、うあああああ!!!!!」
…間違いなかった。

この世にはふたつの属性がある。ジュースとアイス。それらは一対の運命で、両思いになるとアイスは身体ごと溶けて死んでしまう。
こんな風に…。
「う、う、う、嘘だろ那月、おい!う、ああ…」

だけど皮肉なことに、誰がジュースで誰がアイスで、どこの誰と誰が運命なのかは分からない。検査のしようもない。だからこんな救いのない殺人事件が時折起きる。きっと俺はジュースで、那月はアイスだったのだ。

「俺のこと、大っ嫌いじゃなかったのかよ」
涙がこぼれ落ちる。

俺のことが大っ嫌いなら、大丈夫だと思っていたのに。嫌われていたら一生側にいられると思っていたのに。

目の前に広がる綺麗な真っ赤な水溜り。

ニュースで聞いたことあるぜ。相手のことが好きであればあるほどそれは真っ赤なんだと。

俺のことが好きになりそうだから『だいっきらい』とずっと言っていたのか?俺にキツく当たられるのも閉じ込められるのも、本音では悪くなかった訳か。かわいい所あるじゃねえかよ。

お前の本心を教えてくれよ那月。

俺はもう一度水溜りに手を触れた。それはやさしくぬるりとしていた。






end
ーーーーーーーーーー
作中のニュースの彼らもジュースとアイスです。
ほんとは隆が好きだった那月。だいっきらいな振りをしてただけ。
両思いなると片方が死ぬ話が私は性癖みたいです(ドヤ)




◆すらんぷな話
最近スランプ気味なのかあまり話が思いつかず困っていました。
個人サイトでヤンデレメーカーはぼちぼち更新していましたが。

話ってどうやって作るんだっけ?って改めて考えたらよく分かんなくなっちゃったんですよね汗
で、打開策として今回、過去の自分に頼ることにしました。
というのも、私は思いついたネタを普段ちょこちょこメモ帳アプリにメモしているんですね。
で、遡ってみたら、『好きな子を溶かしちゃう攻め君の話/アイスバース』ってそれだけ書いてあったメモを発見したんですよ。

お、これをヤンデレ君に応用すれば…?って閃いて今回メルマガネタにした次第です。

ボツネタになることも多いですが、書いておくとすらんぷの時に役立つなと思いました。



それではまた!

月夜





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