こんにちは!月夜です。




久しぶりのメルマガ更新です。

さてさて、今回は以前お題箱で頂いた内容を元に作品を書きました!
<お題>
二面性のある(例えば表は可愛いが、裏は野獣みたいな)攻めと平凡の受けのお話


それではどうぞっ!( ´∀`)

ーーーーーー
秋学期の始まりと共に開催されたゼミの飲み会。
庶民感あふれる居酒屋で、大勢の男女がワイワイと飲み食いしている、そんな中。


「司くんはどんな子がタイプ?」

座席の両方、前、それどころか斜め前まで全て女の子に囲まれたハーフ系高身長美男、司は愛想よく笑って答えた。

「ん〜俺はお淑やかでおとなしめな子が好き♪」

質問してきた女の子をじっと見つめる。
そのくっきり平行二重の綺麗な瞳にやられて、女の子は顔を真っ赤に染めた。

「じゃあ見た目は?どんな感じが好き!?」
次、エントリーしてきたのは別の勇敢な女子。

「髪は染めてなくてストレートかなあ。恋人の髪は撫でたいんだよね、俺」

キザなウインクつき。普通の人間がやったら寒くなってしまうのに、司のウインクはアイドルのファンサービスめいていた。
またも質問してきた女子が陥落。今度は首まで赤い。

「つ、司くん!じゃあ顔は?やっぱ美人じゃないとって感じ…!?」

更に別の方向から女子が問う。

「え〜顔?全然。俺は普通な感じがむしろ好きだよ」
ニコと大層整った顔で笑いかけた。カッコいいのに可愛い笑顔の司は、女の子を誰でも虜にした。

色めき立つ周囲。
『司は理想が低い。これならアタシも狙える』
そう期待に胸を膨らませる女子達の黄色い声が、居酒屋の一角でわっと上がった。





一方。
それを横目に見ているのは大人しい男子達のグループ。

「司良いなあ…あいつの人生ってメッチャ楽しいだろうな…」

そうウンザリとつぶやく同級生、うなずく周囲。
誰も女子が来てくれないので男同士でお酌し合って寂しく飲んでいる。

「まあまあ、沈んでてもアレだしさ!ここはあっちに対抗してこっちでも皆の好みのタイプ言ってこ!まずは楓!お前からだ」
「え!?」

ゼミのムードメーカー・白木が、一際大人しい子に水を向けた。
突然指名されてどぎまぎする、ザ・普通男子の楓。

「えっと…その…いや…僕なんて特に…」
「楓の好み、そういえば知らない!俺も聞いてみて〜」
やんやと乗ってくる周囲。更にドギマギの止まらない楓。

「ホラ!皆〜!楓が好みのタイプ発表するから聞いてやってーー!」
「し、白木くん…!!」

声のデカい白木。司とその取り巻き女子達も何々?と興味本意の瞳を投げかけている。
ヒュウヒュウと囃し立てたのは司。
「良いぞ〜白木!楓ー!俺も聞いてみたい!」


ニッチもサッチも行かない楓。
逃げられない注目を浴び、ギュッと瞳を閉じてようやく絞り出したのは…。

「…ぼ、僕より背の高い人です…!」

一瞬シン…となり、次の瞬間爆笑の渦。

「か、楓〜!お前、ちっさいもんな!カッコいい彼女が欲しいって訳か!か、可愛いかよ〜!」

ワハハと涙を浮かべてウケているのは白木。愛し気に楓をギュッと抱きしめた。
そしてオマケとばかりにほっぺたにぶちゅ〜とキスまでかましてきた。
更に大ウケする周囲。


楓は色々恥ずかしすぎて、顔を隠す様にして白木の肩に顔をうずめた。
…視界の端に、自分達にじっと殺意を向けている人間の存在をもちろん感じながら…。




***

数時間後。
「それじゃあ今日はそろそろ良い時間だし、解散しますか〜!」

白木の呼び声で解散の流れとなり、店を出て歩き出すゼミのメンバー。
楓は内心ものすごく安堵していた。

良かった、これだけの大人数いれば紛れて皆と一緒に帰れる。今日の言い訳はまた今度すれば良かろう。とにかく今日は逃げよう。
そう思っていたのだが…。


会計を終え、皆と一緒に帰る道すがら。腕をそっと掴まれた。振り返る。

「かーえで♪
俺、さっきの店に忘れものしちゃってさあ。取りに帰るの付き合ってくんない」

ニコニコ可愛い笑顔。
え〜ずるいアタシも!とお供したがる女子をなんとか流し、司はやや強引に楓だけを抜き出して店へと戻って行った。恐怖でやや青い顔の楓を連れて。


***

店に戻り、どうでもいい様なポケットティッシュを回収した司。
「じゃ、帰ろうか…」

そそくさと皆のところに合流しようとした楓の手首を今度はギッとキツく掴んだ司。
「おい、どこ行くんだよお前」

心臓を掴まれる様に冷たい声。
心底ヤバいことを確信しつつ振り返れば、先ほどの愛想の良さとは打って変わって怖い顔をした司がいた。






夜道を、駅とは反対方向に向かって歩く2人。いや、司に楓が引きずられているといった表現の方が正しかった。

「楓!さっきの何なんだよ!」

苛立ちを隠しもしない荒い声で司は言う。いや、この荒々しさが本来の素なのだ。そしてその素の顔を見せれるのは楓にだけ。

「なに、って…」
「白木だよ!何抱き合ってんだよお前ら!キスまでさせやがって!はっ倒せよあんなの!」

一瞬振り返った司。道ゆく車のライトに照らされた顔は、怒りに染まっていた。怯えた楓は歩みを緩めた。

「だって…場の雰囲気とか、あるし…!」
「じゃあせめて俺んとこに逃げ込んで来いよ!」
「そんなっ無理だよ!…女の子いっぱいいたし…」

ただでさえ女子に囲まれていた司。そこをかき分けていくなんてそもそも楓には無理だった。

怒りが頂点に達した司は振り返った。
鬼のオーラが怖すぎてビクと震えた楓。

「楓が付き合ってること内緒にしようとか言うからだろ!公表しちまえばいつでも隣にいれるんだよ俺は!」
「……」

ふたりが付き合い始めたのは半年前。だけど楓は頑なに付き合っていることを周囲に明かさないでくれと司に言い続けていた。


「それになあ!俺は周りくどくたってちゃんと周りに言ってる!楓がタイプで好きなんだって!
でもお前はそうじゃない。好きなタイプはお前より背が高い人、ってそりゃ大体の男が当てはまるだろうが!何だあれは!!俺ってハッキリ分かる様に言いやがれ!」


やりきれない苛立ちと悲しみを抱え、ガードレールをドカン!とひと蹴り。
悔し涙まで浮かんできた気がする司。
なぜだろう?どうして楓はいつもこうなんだろうか。自分ばかりが好きな気がする。


「とにかく楓。今日は帰さないから。隠せない場所に噛み跡つけてやる。明日のゼミはそのまま出ろ、んで聞かれたら俺と付き合ってるからって、今度こそ言え!」
青ざめてふるふると首を振った楓。チッと舌打ちして司は吠えた。
「っ絶対そうしなきゃ許さねえからな、楓!」


そして有無を言わさない力の強さで、楓は引っ張られていった。向かう先はネオンぎらつく夜の宿。

このとき楓はまだ知らない。
そのさき想像以上の荒々しさで抱かれること、

何で周囲に付き合ってることを内緒にしないといけないのかを今度こそ吐かされること、
『付き合ってるって周囲に認めたら、ついに司に飽きて振られるんじゃないかと怖かった。司にずっと追いかけられたかった』と言った時に息も出来ないくらい強く抱きしめられること、それら全部を楓はまだ知らない。





end.
ーーーーーーーーーー
今回のお題、2面性のある攻めくんということでパターンを色々考えたんですよね。

攻めくんを狼男にして、普段はよわよわの気弱キャラだけど満月の日だけめっちゃSキャラになるとかどうかな…とか、

二面性といえばdollシリーズの翼…

もしもシリーズとして翼と葵の1日遊園地デート編とかどうかな…皆の前だとニコニコの翼が2人っきりの観覧車ではサイコSぶりをかますとかどうかな…「僕の言うこと聞けない訳?」とかとか…( ^ω^ )

あれこれ考えてみるのも楽しいもんですね!




◆ぺちゃくちゃ

先月からboothでも今までの番外編の販売を始めたんですが、おかげさまでnote &booth
で販売数、合計300部突破しました!(^^)
応援してくださる皆様のおかげです、ありがとうございます!
購入にあたり感想を添えてくださる方もおり、ありがたい限りです。

ちなみにdollシリーズの翼が意外と人気あって驚いています( ´∀`)♪
Sキャラって人気なんですね。

番外編の更に続きが読みたい!なんて意見もありました(^^)また可能な限り色々作品にしていけたらと思っています。

最近は個人サイトの方でちまちま更新をしています。
片想い症候群と浮気な彼氏シーズン2を更新してますので、よろしければそちらもご覧ください。





何かコメント等ありましたらこのメールに直接返信、もしくはLINEにてお返事頂ければと思います。

※メールに返信するとメーラーデーモンのエラーが出る件、修正しました。



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それでは!
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