今回はハッピーエンドな感じじゃないかもので、苦手な人はご注意ください。メリーバッドエンド的な感じ・・?
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そこに差す爽やかな朝陽は随分チグハグで、随分イヤミだ。
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お酒の匂いをたっぷりと含んだ、金髪美形を抱え上げる。
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透き通る様に白い肌、綺麗な灰色がかった瞳がうっすらと開き・・にこ、と営業スマイルを浮かべた。
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見るひと皆が一瞬で恋に落ちてしまう、かわいい笑顔なんだけど・・。
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(お客さんじゃないよう、僕だよ、ソラだよ)と耳元でヒソヒソと話した。
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そういって僕に余計に体重を預けて抱きついてきた彼を、よっこいせと電車に運び入れた。
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表向きはカワイイ笑顔と愛嬌が売りのホスト、アキラ。その素性は口が悪い荒れくれ者。僕は黒服。
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街並みと同じ薄汚れた電車はそれなりに混んでいる。敗れたシート、ゴミの捨て置かれた電車内。
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「大丈夫?」 「おええ・・全然大丈夫じゃねえ・・ソラ、水くれ・・」
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ペットボトルを差し出すと、アキラはグビグビと飲み始め、いっぺんに飲み干した。
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店でコールがかかってシャンパン一気飲みする時と同じ飲み方・・。
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「ったく、ふざけんなよあのクソ客共。次ウチの店来たらぶっ飛ばしてやるから」
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めちゃくちゃ太ったおじさんが僕を買おうとして、それを見てブチギレたアキラが客をひっぱたいたのだ。
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でもそんなアキラを店長は更にぶん殴った。彼が金持ちだったから。
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「僕だって許せない、アキラに面白半分であんなにお酒飲ませて・・!」
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詫びの代償としてアキラは大量の酒を一気に飲まされた。
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「別に。大したことねえ」 「あのとき運が悪かったら急性アルコール中毒で死んでるんだよ!?」 「うるせえ!良いんだよほっとけ!」
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「・・ったく・・あーあ、金持ちを焼き鳥にして良い法律でも出来ねえかな、クソ野郎共」
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口の悪いアキラ。せっかくの美貌に不釣り合いな言葉遣いが哀しかった。
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「ふん、良いさ良いさ。金が貯まるまでの辛抱だ。必要額までもう少し・・あとちょっとくらい付き合ってやるさ、あの豚共に」
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僕らが降りるのはまだまだ先。もっともっと先の、貧乏人だけが住む汚い街・・。
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気づけば皆降りてしまい、誰もいない電車内で僕らだけ。
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「・・お前のちゃんとした名前、俺が買ってやるからな。あとちょっと辛抱してくれよ」
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「もう良いよ。僕の名前なんか・・『疎裸』(そら)で良いんだ」
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そう・・金持ち連中が作った酔狂な法律のせいで、素敵な漢字を使った名前には信じられない高い値段がつけられたのだ。
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だから貧乏人は子供が出来てもロクな名前を買ってやれない。
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『名前ひとつで金持ちかそうでないかを見分けられる便利な法律』なんだってさ。
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だからお酒狂いのホストなんかもう辞めて・・お兄ちゃん」
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「血縁関係は忘れろって言っただろ。・・俺はソラの恋人、アキラだ」
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腹違いの兄は、そういって僕を抱きしめもう一度キスをした。
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「名前の良し悪しがその後の人生も決める。住処も仕事も、結婚も!
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だから人生変えたきゃ貧乏人は、まずは死に物狂いで名前を変えなきゃいけない。
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「・・それにな。『疎ましいに裸』でソラって読ますだなんて・・あんまりだろ。
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それに幾らかかると思ってるの? 自分の身体まで壊して。
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「自分だって、諦めるに螺旋の螺、で『諦螺』(あきら)のくせ!」
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アキラが自分の名前を心底嫌がっていることを、僕だって知っている。
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なのに・・アキラは貯金を全部使って僕に名前を買おうとしている。
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「とにかくだ!名前さえ・・ちゃんとした名前さえ手に入れば、お前は9等区から出られる。
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2等区は無理でも3・・いや4等区くらいには住める。あそこはまだマシだ。あそこなら人生やり直せる、お前だけでも」
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「やだ!!!アキラと離れたくない!!僕も9等区で良い!!」
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「俺には時間がないんだよ。せめてお前だけでも幸せになってくれよ。
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空気が悪くゴミゴミして、空もロクに見れない9等区から離れて、これからは綺麗な空が見れますようにって願いを込めて。
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「とにかく今月の給料入り次第、お前の名前の手続きするからな。・・そしたウチ、出てけよ。泣いても喚いても追い出すから」
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弟の新しい人生を買いたいからホストを頑張ってる兄とそれを間近で見てやきもきしてる弟の話。
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ちなみにソラは最初、『空落』になるはずだったんですけど考えてみたら悪くない名前だなと思ったので、もっと個性的な名前にしました。
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『一般的な響きの名前にとっぴょうしもない漢字を当てる遊び』を一人でたまにやるので(なにそれ?)、その名残で思いついた話です。
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noteで番外編を色々と販売させて頂いているのですが、先日累計販売数が200部を突破しました。これもひとえに読者さんのおかげです、ありがとうございます!( ;∀;)
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さて最近は、書ける作風の幅を広げたいなと思って試行錯誤してるんですが、これが中々難しいところでして・・
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もともと仄暗い話・物悲しい話・重い話が好きなのでどうしてもストーリーの発想がそっちに寄ります。
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だけどピクシブを広く見渡してみると、甘々系が概ね人気ですよね。
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それに毎回同じ作風だとつまらないかな?というのもあり・・
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なので明るい甘々系も書けるようになりたいなと思ってるんですが、むずかしくて・・修行中です( ;∀;)
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腐女子って光の腐女子と闇の腐女子がいるじゃないですか?ハリーポッターで言うグリフィンドールかスリザリンみたいな・・(うろ覚え)
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一方ツイッターランドを見ていると「この作家さん明らかに光の腐女子だな」って思う人がたまにいて、そういうタイプの作家さんは労せず明るい甘々を書き上げてるので『すげえ。』ってなります。
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私は明るすぎる光に触れると死ぬタイプ・・中2病こじらせですね。
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まあーでもぼちぼちやっていきたいと思います!(^^)/
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何かコメント等ありましたらこのメールに直接返信、もしくはLINEにてお返事頂ければと思います(^^♪
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※メールに返信するとメーラーデーモンのエラーが出る件、修正しました。
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