こんにちは!月夜です。



お久しぶりです。皆さんお元気でしたでしょうか。
さてさて、それではメルマガ今回もお送りしていきます。

タイトルは『その顔良いね』

激重ヤンデレストーカー攻め君vs無表情受け君のお話です。
ファイッ!



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「好きです、付き合ってください!」
「……」

目の前の超爽やかイケメンがシュッ!と手を出してきた。
どうしたら良いのか分からず僕はただ無言で見つめていた。

「あの…何か言って下さい…!」
「……」
「…俺じゃダメってことですかね…」
「……」

目の前の超爽やかイケメンが悲しそうに頭を掻いている。おしゃれなピアスがそれに合わせて少し揺れている。
本当ごめん、超ごめん。

こんな平凡な人間の癖に、折角あなたの様に美しい顔した人をそんな悲痛な表情にさせて…。


僕の名前は荒川瑠衣。男子高校生。
無表情・無感動・無気力な怠惰な人間だ。
主に表情筋が死んでいる。
…だけど今現在、こう見えて内心超テンパっている。

心の声↓
どっどっどうして!?こんなカッコいい人が僕なんか好きなんだろう!?いつも同じ電車に乗る他校のイケメン高校生に突然話があるってホームで呼び止められたらこんなことに!これはドッキリ!?嬉しいケドッ!!!!

だけど実際は…
「る、瑠衣くんお願い、そしたらせめて友達になれませんかね!?」
「……」

こうである。友達どころか恋人で全然良いんだけど、僕激しくコミュ障だから声が出てこないのだ。

「…友達ですらダメ…?困ってるかな瑠衣くん。でもそんな顔も可愛いね…」
何かちょっと変に興奮してるイケメンに、ちょっとん?となりつつも。
「そしたらまずは友達になれる様、俺頑張るから!瑠衣くん、よろしく!」
「!」

何か話の流れで突然抱きしめられてしまったのだ!
「じゃ、じゃあね瑠衣くん!」
そして逃げる様に彼は走り去っていってしまった。それをただ無言で見つめる僕。

ちなみに心の声↓
どどどうしていきなり!?イケメンすごい!こわい!!僕ら話の流れ上は友達ですらないはずなのに!?んjdshゔぁkhblj;h;jhぶf
いかんいかん文字化けするほどに僕は内心テンパっていた。まあ、それでも無表情だけど。

僕はカバンを抱えて家に向かって歩き出した。
あれ?ってかどうやって僕の名前を知ったんだろう?まあいっか…。

***

その日の夜。知らない名前からメッセージが届いた。
『こんにちは!芦屋流星です。今日は突然告白してビックリさせちゃってごめん。でも俺の思いをどうしても知って欲しかったんだ。でさ、まずはお近づきにってことで、明日どっか遊びに行かない?ゲームセンターとか!』

おおっあのイケメンくんて流星くんて言うんだ。名前もイケメンて何?
ってかやっぱりどうして僕の連絡先を?まあ良いか。誰かしらから流出したのだろう。別に自分に興味がないのでその辺はどうでもよろしい。

しかしゲームセンターかあ。良いところ突いてくるなあ。僕がUFOキャッチャー好きなのを知ってのお誘いかってくらい。流星くんの欲しいもの良かったら取ってあげても良いけどオ?

『良いよ』

あれこれ頭の中で渦巻いているけど、結局返信したのは3文字。ごめんコミュ障なんだ。でもメッセージ上だと喋れる生き物に僕はなれる。

『マジ!?超嬉しい!!やったーーー!!!!!』
ハートの絵文字乱舞のメッセージ。流星くんてカワイイ奴だなあ。しかしどうして僕みたいな人間が好きなのだろう。イケメンてワカラナイ。

***

翌日土曜日。待ち合わせに現れた流星くんはこれまた超イケメンだった。私服になるとイケメンて攻撃力増すのは何なのだ。

「瑠衣くん、今日は来てくれてありがとう!」
「……」
「さ!早速行こ!この間ねえ、面白いUFOキャッチャー見つけたんだよ」
ぐいぐい引っ張られて僕はゲームセンターに連れ込まれた。

「ね!俺これやりたい」
それは僕はここのところ苦戦していたUFOキャッチャーだった。あ〜ワカルこのゆるキャラぬいぐるみ欲しいよねえ。
「このぶさかわぬいぐるみくんメッチャ可愛くない!?」
「……」
「俺、頑張って取るから!応援しててよ!」
「……」

おお!?流星くんマジ!?
いやいやその子は僕が累計1万円くらいお金溶かしても取れなかったむずい子…ってえええ!?

「よっしゃ〜取れた!」

流星くんはアッサリ取ってしまったのだ!!!
流石にちょっとだけ目を見開いて驚いてしまった僕を見て、流星はぶははと笑った。

「あ〜瑠衣くん驚いてる!カワイイ〜!!!じゃあさ、これあげる!仲良し記念!」

ぐいと押し付けられて、僕はありがたく頂戴した。

「……………ありがと」
「全然良いよ!喜んで欲しいし!」

ゲームセンターの喧騒の中、本当に小さい声でやっとポツッと言ったセリフだったのだが、聞き分けた流星くんであった。

「ね、瑠衣くん!お礼にさ、俺のピアスもらってくんない!?お揃いでしよ!」
ぬいぐるみももらってさらにお礼でイケメンの片側のピアスをもらうという訳の分からないプレゼントまで貰ってしまったのである…!

***

そんなこんなで僕らは良く会う様になった。流星くんとは趣味が合うのか、よく行くお店や好きな食べ物がたまたまかぶっていた。

「瑠衣くんもソレ好きなの!?俺たち、似てるね〜」

ってよく彼は喜んでいた。

「瑠衣君カワイイねえ」

そしてしょっちゅう僕をカワイイと愛でた。
意味不明だった。こんなに無表情なのに…?

ある日僕は思い切って聞いた。もちろんメッセージで。

『僕のどこが気に入ったんですか?』

『こんなに無表情で何が起きても顔色ひとつ変えない子なんて珍しいから』

ああ、珍獣的な…?
続いてメッセージが来た。

『でもずっと見てると無表情の中にも実はちょこっとずつ色んな表情があるんだよね瑠衣くんて。で、もっと色んな表情を引き出したいなって思ってずっと君のことを見てたんだ」

え…ドキッとした。
さらに追加メッセージが。

『それでね、俺色に染めがいがありそうだなって思ってたら好きになっちゃった!』

ん…?と思うところはあるものの、流星くんが僕を好きな理由をなんとなく把握することは出来た。

…正直言うと僕は嬉しかったんだ。自分ですら絶望するくらい表情のない僕に、微かな表情を見出して好きになってもらえたことが。

「流星くん…」
ついセンチメンタルに星空を見上げて流星くんに想いを馳せてしまった。

恋愛経験のない僕なんてチョロいもので、僕は自然に流星くんに恋をした。
メッセージ来ないかなあとワクワクして待ち、ツイッターには『りゅうくん…♡』とかキモいつぶやきをかました。良いんだ誰も見てないし。

「や!お待たせ」
そう言ってデートの待ち合わせ場所に現れる流星くんを心待ちにする様になった。彼が現れるとついほんのり笑みが溢れる様になった。

だけど…。



ある日流星くんは待ち合わせ場所に現れなかった。待っても待っても来ない。メッセージも来ない。5時間同じ場所で待った。夕方17時。でも来ない。




僕は愕然とした。でも同時に納得もしていた。

飽きられたんだ。当たり前だ。誰がこんな無反応な人間に興味持ち続けられるかっつーの。
あんなに熱意持って好き好き言ってくれてた人ですら興味を失わせてしまう無表情さ。

ついうずくまって、泣いてしまった。

ほろほろと涙がこぼれた。
どうして自分はこんなにも無表情なのだろう?

どうしてもっと感情豊かに自分を表現できないんだろう。もっともっと他人を惹き込む太陽のような人間だったら良かった。
でも違う。それに月みたいな神秘的なキャラかと言ったらそれも違う。僕は無だ。ただの虚無だ。
暗い暗い闇でしかない。もう消えたい…。



「瑠衣くん…?」

そばでコツ、と靴音が聞こえた。
パッと顔を上げた。

「流星くん…」

息急き切っている。

「ごめん、こんなに遅くなって…まさか待っててくれてるなんて…」
「そうだったんだ、来てくれて嬉し…」

またぽろりとやってしまって、恥ずかしくて顔を伏せた。

「立って」

だけど容赦なく流星くんは僕を立たせた。
がしと両頬をその手で押さえられて目線を合わせられた…のだけど。
流星くんにドキッとした。悪い意味で。
な、なに!?その興奮ぶりは何…!?



「あああカワイイよ瑠衣くん。俺に振られたと思って泣いちゃったんだね?その泣き顔さいっこうだよ。俺にだけその顔見せてね他の男に見せちゃダメだよ?もう我慢できない今から俺ん家行こうね。もう帰さないけど良いよね?だってもう唯一無二の恋人だもんね?あっは俺の粘り勝ちだ、やった、やったよ!!!2年もストーキングした甲斐あったね。好きなものも行動も全部調べあげて入念に準備して近づいたんだよ?振られないようにキモがられないように。でも楽しかったよ君のあとをつけるのは。連絡先なんてとっくに入手してたけど連絡するのガマンしてたんだよ偉いでしょ?瑠衣くんが懸賞に応募しようとして失敗したハガキ捨てたことあったでしょ?あれに名前も連絡先も載ってたからさあ。ほらゴミのチェックはストーキングの初手じゃん?変態に拾われない様に俺がガードしてあげなきゃいけないし。あああゴメン、もうガマン出来ないから言うんだけどぶっちゃけ君のツイッターアカウントも知ってるし家の鍵は複製したものを持っているし、寝顔はチェック済みなんだ。それに君の部屋にはカメラもある。俺のことを想って星空を見上げるなんて随分カワイイことしちゃうんだよね。流れ星にお願いでもしてたのかな?俺と一緒にいられますようにとか?もちろん安心してよこれからもずっとずうっと一緒だから。あ、ちなみに今回待ち合わせ遅れたのはごめんわざと。瑠衣くんの気持ちを確かめたかったんだ。本当に俺のこと好きでいてくれてるのかなあって。ごめんねごめんね。でもずっと近くにはいたんだよ。泣いちゃったり怒っちゃったりしたら行くつもりだったんだ。瑠衣くんには盗聴器しかけてるから声や呼吸の乱れならわかるしね。どこってピアスの中にだよ。さ、ってわけで俺ん家行こうね。瑠衣くん?どうしてそんな怯えた顔してるの?そんな顔、今まで見せてくれたことないじゃない…やばい超興奮してきた。これからはもっと見せてねそういうカオ…♡」





end
ーーーーーーーーー
最後の流星くんのセリフは息継ぎナシで一気に喋っています。うそ。(´∀`*)






◆ぺちゃくちゃ 最近嬉しかったこと

私はエブリスタという小説投稿サイトでもアップしているんですが、エブリスタって同じ人が何度もイイネを押せるんですね。

(厳密に言うとスターボタンです。1日1回まで押せて、日付が変われば同じ作品にまた押せる。)

んで、誰が何の作品に何回イイネを押してるかが作者から分かる仕様になっています。
それでこの間なんとなくイイネ欄を見てたら、結構複数回とか、人によっては何十回も同じ作品にイイネ押しててくれることが判明!

こりゃ〜嬉しかったですよ!
それだけ深く刺さってくれてる方がいるってことですから。

正直、作品書いてると「今回はあまりウケなかったな…(^q^)」ってなる時がままあります。
でも狭くても深く刺さってる人がいるなら、「じゃあ良いか…!」って勇気が湧くもんです。
エブリスタはそれを可視化してくれるのでありがたいですね。

でもきっと他のサイトでも、読者さんから貰うひとつのイイネに中に、10イイネ分くらい含まれている時があるのかもしれません。
見えないイイネも大事にしたい。そんな風に思った月夜でした(´∀`*)





それでは!




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