こんにちは!月夜です。





いつの間にかもう12月。年の瀬です。月日が経つのは本当早いですね…!!

さて今回もメルマガお送りしていきます〜!
今回は初の試み、ショート2作品のお送りです◎




◆1話目◆

『ファンでした』
アイドル美形くんが平凡健気くんに夢中になる話です。ホッコリ系です♪

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俺には推している子がいる。

多分同い年の男の子。名前はマサくん。元々俺をフォローしてくれてる子で、ある日何となしにその子のつぶやきを見てから俺は虜になってしまったのだ。


『今日は友達の誕生日。頑張ってバイトして貯めたお金でプレゼントゲット!
だけど油断してたら帰りに財布落としちゃった汗 ぬすまれた? 誕生日プレゼント買えた後でほんと良かった…!友達ガッカリさせないで済んだ!』


友達思いで健気で、ちょっと不運。
俺の性癖ど真ん中を見事にブッ刺し、以来俺はずっと彼のファンでいる。
(ちなみに彼の財布はいまだ見つかっていないらしい。)



顔も知らない、アカウント名『マサ』くん。
フォロワー5人。こ、こんな良い子なのに!?
誰にも見つけてもらうことなくひっそり界隈で咲く様子がまたも俺のハートを鷲掴む。

俺は彼の飾らないところが大好きで、こっそりつぶやきを覗いてはほっこりするのが日課だ。
ついついスマホに夢中になっているとマネージャーに声を掛けられた。

「セレン。早く。リハーサル始まるよ」
またねマサくん。俺は携帯を閉じて立ち上がった。

***

電車移動中。僕は日課のツイッターで推しをチェックする。
とあるアイドルユニットのセンター、セレンくん。ハーフだという彼は日本人離れしたホリの深い甘い顔だちで、紫がかった瞳がハッとする人で、性格も優しくて本当大好き。

セレンくんをフォローして、ちょっとした宣伝ツイートとかをありがたく拝見する日々。
それだけで大満足!

***

俺は無事にステージを終え、帰りのタクシーで携帯を開く。
どんなに疲れてても、マサ君のつぶやきを見てると不思議と心満たされていた。
マサくんはまあまあツイ廃なので助かる。

さて今日は…
『今日は妹が豚キムチ作ってくれた♪ちょっと辛かったけど頑張って食べ切ったら『お兄ちゃん郵便ポストみたいだよ』って言われちゃった。でも妹のためなら僕は郵便ポストでもだるまさんにでもなるっ!』

ポ、ポスト…!
俺は暖かい気持ちで腹を抱えて笑った。

多分実際には猛烈に辛かったんだろうな。でもそれをおくびにも出さずに美味しい♡とか言って食べ終えたのだろう。

ああ〜一体どんな子なんだろう。マサ君。
会ってみたいな。
俺は架空のマサ君の顔を思い描いてみる。それはとても楽しいひと時だった。

***

僕は息を切らせて家に走って帰る。
今日はセレン君がとあるテレビ番組に出るんだ。
テレビをぴ、とつける。もう始まってた!

『それでセレンさんは好きなタイプはどんな方なんですか?』
『えっと僕は友達思いだったり家族思いだったり、とにかく人のことを想える人が好きです!
あと悪意がないというか、ちょっと天然だと可愛いなって思っちゃいますね』

むむ!?なんかちょっと照れくさそうなセレン君。頭を掻いてて恥ずかしそうな感じ。
ピーンと来た。これは多分誰か好きな人がいるのだな…!匂わせというやつですかね!

まあそうだよね、いるよね。
セレン君なら。
はあ〜お相手どんな方なんだろう。きっと幸せな恋をしているのだろうなあ。

***

この間のテレビ番組で具体的な恋愛対象をしゃべってしまったことで、俺はやいのやいのと多方面から突っつかれていた。
熱愛!?なんてネットニュース出るし。
辞めろよそういう消費して良い感じじゃないんだよこの気持ちはさ。しかしマズったなあ…。

なんて思いつつ、ステージの合間にツイッターを見ていたある日。

1件の投稿がマサくんからあがった。

『クラスの友達が誕生日祝ってくれた♪』
それは多分スーパーで298円で買ったイチゴのショートケーキを前に満面の笑顔でうつる男の子…!
こっこれは…マサくんご本人!?

俺は入念に写真をチェックしていく。
…文面からしてこれがマサ君に間違いないと確信した瞬間、俺はあまりに嬉しすぎてのたうち回った。

かっかわいいーッ!
スーパーのイチゴケーキを素直に喜ぶ性格の良さーッ!
特別イケメンではないかもだけど(ごめん)笑うと八重歯がニュッて出るんだーッ!
それにしてもやはりほんのり幸が薄そうな感じーッ!

マサくーーーーん!!!君が好きだあーーーーッ!!!!!

ひとり悶える俺を遠巻きに見つめるメンバー。すまないいつのも発作だ。

ハッとして写真をスクショして保存した。消えてしまう前にこの宝物をしまっておかなくては。
…もう我慢できない。
俺は渾身の勇気を振り絞ってフォローボタンを押した。

ついにマサくんをフォローしてしまった…!!

***

「え!?」
僕は驚いてスマホを滑り落とした。
通学途中。何気なく開いたツイッター。あっフォロワーさんが1人増えてる♪そう思って確認したら、あのアイドルのセレン君だったのだ!

え!?なんで!?
何回も確認した。やはりツイッターの認証マークがついている。本人だ。
フォロワー130万人。この人数も。

おそれ多くも相互フォロワーになってしまった僕ら。

でもきっと間違ってフォローしちゃったか、ツイッターのバグなんだろうな…そう思って僕は携帯をそっとしまった。

ああ、良い夢を見てしまった。神様ありがとう♡

***

俺はどうしたもんかと真剣に落ち込み悩んでいた。
マサ君と相互フォロワーに昇格した。マサくんがイイネくれたりして、つい調子に乗ってしまった。
魔がさしてマサ君のほっこりツイートを『かわいい!』とコメントつきでリツイートしてしまったのだ。

そしたら俺のそんなリツイートが反響を呼び、『マサって誰』とやたらな騒ぎになってしまったのだ。
中にはマサくんに暴言を吐く者まで。。
やばい、どうしよう。やってしまった!

マサくんはアカウントに鍵をかけた。
マサくんがツイッター辞めて消えたらどうしよう!?
俺はイライラモヤモヤ、不安で仕方なくなり、俺は勇気を振り絞ってある行動を起こすことを決心した。


***

僕は信じられないものを今目の前にしている。

突如駅前に現れたトップアイドル。すごい。本物はすらりと背が高い。身長185センチ、脚が随分長い。全身黒っぽい格好で多分地味目にしてるんだろうけど、かえって顔の良さが際立っていた。
すごい頭小さい。めっちゃホリ深い。なんて顔が良いんだ。
周りの悲鳴じみた歓声。


セレン君に直接会って話したいですってDMを突然もらって、半信半疑で来たら本当にセレン君はやってきたのだ。

「あ、あの…?」
「…ッ!」

セレンくんは顔が真っ赤だ。

「あの、すみません。マサさん。突然会いたいなんて言って…ツイッターの件、この度はご迷惑お掛けして本当にすみませんでした!
あの、でも、僕…ずっとあなたのことす、いや、ファ、ファンだったんです!まずはお、お友達からお願いします!!!」

勢い良く腰を90度に曲げて手を差し出したセレン君。血管の浮く大きな男らしい手。

「そんな、迷惑だなんて思ってないです!コメントもらえて僕も嬉しかったですし!」
それは本心だった。

そしてあ、これドッキリかな!?ようやく思い至る。そうか、きっとそうだよね!?
そう思いながらセレン君の手を握ったら。

めちゃくちゃ嬉しそうにして泣きそうなくらいの感じでセレン君は顔をあげた。目のふちが少し赤い。

それを見てドッキリじゃないっぽいということに僕は気づいた。
そして僕も首あたりからみるみる真っ赤になる、その音を聞いた。




end

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ホッコリハッピーが読みたくなって書きました(´∀`*)

さて、2作品目ですがそちらは結構人を選ぶ感じの作品なので、メルマガ最後に記載します!




◆今日のぺちゃくちゃ・溺愛って何?

溺愛攻め様って人気ですよね。
どの小説投稿サイトを見ても、上位は大体タイトルに溺愛ってワードが入っています。
むしろ溺愛が入ってないとランキング載れないんじゃないのってぐらい。巨大ジャンルです。

でも溺愛って結局何なんでしょうね。

とにかくかわいいかわいいと猫っ可愛がりすること?でもそれって浅くない?溺れる程深く愛してる?
何でも相手の課題を解決してあげること?
変態なまでに相手の全てを知りたがること?
それか上記全てを含むような関わり方?

溺愛ってワードがどこを指してるのかが明確に分からなかったので、今まであんまり書いてこなかったんですが、最近ふと閃くことがありました。

溺愛っていうのは、
『根っこの部分で受けくんのことを人間的にちゃんと理解して愛を向けつつ、表面的にはかわいい〜♡って明るくハートを割と一方的に飛ばす状態』だなと。

これ意外と大事なのが前半部分で、受けくんへの人間的な理解・関心がないとただの表面的な関わりになるなと思いました。

要点が分かってきたので、これからは溺愛攻めもぼちぼち挑戦してみたいと思います♪




◆お題募集

メルマガで書くお題募集します〜
お題箱へどうぞ!

ただテーマが大きいと字数的にメルマガで書ききれない場合があります。
全てのお題は書ききれないかもしれませんが、できる限り書いていきたいと思います。

お題箱





◆オマケ・2作目◆

『ある裁判の記録』

弟を想う兄の話です。メリバというかほぼバッドエンドですが、嫌いじゃないよっという方のみどうぞ!
ちなみに私自身はこういう暗い話が大好きです!!!
裁判の模様は雰囲気で書いてます。

ーーーーーーーー
「それで犯行動機は」
「遊ぶ金が欲しくてやりました」
「君がやった宝石店襲撃事件のおかげで死傷者が何人も出たことについてどう思っていますか」
「別に何も」

美しい顔をしたその被告少年は、裁判官からの質問に悪びれる様子もなくそう答えた。

すらりと伸びた背、ややくすんだ金髪に青い瞳の綺麗な顔。せっかくの美しい容姿と引き換えに、神様はこの少年から良心を奪ったのだろうかと周囲の人間は思った。


検察官はいかに彼が身勝手で残虐であったかをとうとうと述べた。
更に付け加えた。
「あちら見て下さい、傍聴席にいる実の弟。とても心配して来ているのに、被告は肉親に見向きもしない。被告には良心のかけらすらありません、重罪を要求します」



傍聴席には被告少年と少しだけ目元の似ている、ありふれた顔だちの男の子。涙を流すまいと必死に堪えている様子は、周囲の人間の同情を誘った。
それは正に身勝手な兄の行く末を心配する健気な弟の姿であった。

「弁護側。反論は」
「…ありません。被告少年は全ての罪を認めて償いたいそうです」

非常に不服そうな顔をして、弁護人はそれだけ応えた。

***

裁判の休憩中。弁護人は被告少年に言った。
「あんた、今度こそ証言覆さないと本当に牢屋行きだよ。マジで罪は重い。多分一生出れなくなるけど本当に良いの」

少年は弁護の男をチラリと一瞥する。

「弟の莫大な手術費用が必要だったのは分かるけどさあ。でもヤケ起こして事件起こしたの弟なのにそれを肩代わりしてやるなんて、さすがにやり過ぎじゃないの。
闇医者に依頼して盗んだ金で手術は無事済んだ。俺が言って良い発言じゃないが、とっとと逃げりゃ良かったんだ」

「…誰かが罪を償う必要がある」

「でもねえ。あんた牢屋じゃ一生オンナと遊んだりまして結婚なんてのも出来ないよ。19歳で人生決まって良いわけ?
遠い遠い田舎のきったねえ刑務所にブチ込まれて、弟とも縁切れちまうよ。良いの?」


少年は何も言わなかった。迷いが一瞬浮かんだ様にも見えた。

弁護士は考えた。やっぱり怖気付いたか。そりゃそうだ。流石に少年は証言を覆すだろうと。

「裁判官は迷ってる顔をしてたぜ。君ん家が荒れた貧乏な家だったって記録見てるから。情状酌量で懲役20年とか、せめてそこら辺狙えるかもしれないから最後反省した面くらい見せろよな」



しかし後半の法廷。
最後に何か言いたいことはあるかと裁判官に問われ、少年は言った。

「弟を俺の代わりに牢屋にぶち込んで下さいよ!そしたら俺は盗んだ金で一生遊んで暮らせるんだ!弟が俺の身代わりに罪を償えば良いんですよ!!!」

それはどこまでも身勝手な兄の証言に聞こえた。
それで裁判官の心は決まった。

「求刑、無期懲役。本日閉廷」

少年は嬉しくて誰にもバレない様に少し笑った。
これで弟の人生から消えてやれる。消えてしまう。

傍聴席の弟の顔は見なかった。





end
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何かコメント等ありましたらこのメールに直接返信、もしくはLINEにてお返事頂ければと思います。

※メールに返信するとメーラーデーモンのエラーが出る件、修正しました。



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