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だが空を見上げると・・何だか雲行きが怪しい。一雨来そうだ。そんな予報ではなかったが。
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念のためすぐ近くのコンビニで傘を買ってきた。その10分後。
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現れた愛しい遥。その時ちょうどバラバラと天気雨が振り始めたので傘に入れてやった。
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「ないよ。でもカワイイ俺の遥が濡れたらやだなと思って、買っといた。今日はせっかくの誕生日の前祝いだしな」
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通されたのは良い感じの窓際の席。夜景も綺麗だし、テーブルにはキャンドルが揺らめいていて、デート向きだった。
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「うわ〜・・お洒落なお店だね!料理もすごい美味しそうだし・・♪」
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「でもここ、中々予約が取れないって聞いたことあるよ。予約取るの大変だったんじゃない・・?」
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「いや〜別に?2〜3回電話したら取れたよ。ま、気にすんなよ」
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肉好きの遥のために、このステーキが評判の店を何ヶ月も前から粘って予約を取っていた。
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会社でもオフィスを時折抜け出して電話をかけたのもまあ良い思い出だ。
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シャンパンが運ばれてきて、遥25歳おめでとうと乾杯した。
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「これでアラサーだな、遥。俺はまだまだ24歳だけど」 「うっさいわー!」
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周囲からはただの仲の良い友達に見えてるかもしれないが。
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店の窓ガラスに映る俺たちは恋人チックに俺には見えた。ちょこっと嬉しい反面、切ない気持ちになった。
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料理が次々と運ばれてくる。美味しい美味しいと頬張る遥につい頬が緩んだ。
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「うまい?・・良かったよ」 「健〜っおいしいよお・・うう・・」
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こんなに喜んでくれるなんて、連れてきて良かった。遥って何てかわいいんだろう。顔はふつうだけど、喜ばせたくなる何かがある。
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目を輝かせてモグモグと頬張っている。 パチパチと瞬きするその目が『お・い・し・い』って言っていて・・
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「たけるう〜っこんな美味しいもの食べさせくてれてありがとう〜っ奢りで良いのホント」
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ドキッとした。遥はいつもこうやって自然に俺の心を掴んでいく。
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「・・まあ来年の誕生日はまたうまいモン食わしてやるよ。アラサーのお前にな」
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遥。でも真面目な話な。 来年も、その先も。ずっと遥の誕生日を祝いたいよ、俺。
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甘党の遥が喜ぶように、いちごが沢山乗ってる超・甘くて旨いケーキ。
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わざわざこの店に事前に相談して作ってもらっていた。
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口元を抑えてうっとりと目を閉じた様は可愛くて天使な反面・・なんか、こう、やらしくて・・。
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一瞬で頭に広がったイケナイ想像に、俺は内心すごくソワソワしていた。
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「・・ケーキ・・最高・・」 「おお、喜んでもらえて良かったよ。ま、うまいな」
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何とかシレッと答えた。変な想像なんてしてませんよ、と。
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「・・健う。本当今日はありがとね、こんな良いお店」
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「良いよ別に。まあ、あれだ。これからも末永くよろしくな」
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ニコと笑った遥の笑顔に、単純な遥バカの俺は幸せな気持ちになった。
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また来年、どっか連れてってやろう。もっと良い店探すよ。お前が喜ぶ顔が見れるなら、俺は何だってする。
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『今から俺んち来れば』って邪な気持ちで遥の背に手を回したい衝動を、何とか我慢する。
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「それじゃあ今日はここで。勇樹さんにもよろしくな」 「うん。またね、健」
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「あっコレ持ってけ」 まだ雨が降っていたし、傘を押し付けてやった。
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「えっ健が濡れちゃうよ」 「別に良いよ。じゃあな!」
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ニコと笑顔を残して、俺はさっと改札を通り背を向けて足早に歩き出した。
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ここで別れられて良かった。ちょうど電車が来る。振り返らずに階段を駆け上がり、ホームへ向かう。
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俺の発言が全部冗談だと思っている遥。 俺がどんなに好きかなんて、知りもしない。
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ガラス窓に映る自分は、随分とシケた顔をしていた。見てられなくて、ガラス窓に背を向けた。
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『今日はありがとうね。健、だいすき!ずっと一緒にいてね』
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今回は溺愛・・に見せかけた片想いBLにしてみました。一方通行って良いですよね。
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実っても良いし、実らなくてもそれはそれで美味しいし・・(*´∀`*)
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