さてさて、久しぶりにメルマガ限定コンテンツの配信です。
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今回のテーマは『ワンコ系だと思ってた子が、実は俺様だったしそれに迫られて困る生徒指導の先生の話』です。
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今日は生徒指導上手くやれるかなぁ・・なんて思っていたら。
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有栖川 蓮くん、高校2年生。背が高くて、色白でホリが深いハンサムな子。薄茶色の瞳と髪が印象的な、フランス人のクオーター。
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「あ、やあ」 「先生、これから見回り行くんですよね?僕も行きます!」
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「いやあ、良いよいつも悪いし」 「全然!大好きな先生と一緒なら僕は何でも嬉しいんです」
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この問題児だらけの学園の中で、唯一僕を慕って懐いてくれる超カワイイ子。
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放課後、繁華街へ繰り出す問題児への生徒指導にだって付き合ってくれる、神様なのだ。
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「君たち、こんな所で何やってるんだい!」 「社会の見学です〜」
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言うや否や、相手を背負い投げしたのは僕・・ではなく有栖川くん。
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身長185センチの大柄な体躯から繰り出される必殺技は効く。ビタアン!とアスファルトに叩きつけられた相手はいってええ!とうめき声をあげた。そしてヒイヒイ言いながら仲間たちと走って逃げていった。
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「サッサと家帰れよお前ら!」 最後にひと吠えした有栖川くん。
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「いえいえ。アイツら本当無礼だったんでね。先生を傷つける奴は許しません。ちょっと勉強出来るからって天狗になられちゃね」
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そう、ウチの高校は全国屈指の進学校。だから勉強詰めの生活がストレスで問題を起こす子も多かった。
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繁華街で夜遅くまで遊び倒す、アルコールに溺れる、路地裏で喧嘩、バリエーションは豊富だ。元は頭は良い子達なのにあまりにもったいなかった。
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「でも大丈夫?有栖川くん、そんな身体張らなくて良いよ。・・怪我しちゃうよ」
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僕は身長170もないので彼の様な体当たり指導は出来ないけれど、僕は彼が心配だった。
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「全然、平気ですってば!僕、先生の為なら何でもしますよ!さっ次の見回り行きましょ」
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そうニコッと爽やかな笑顔を向けてくれた。 まじ、神。
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「はあ、今日も疲れたねえ。さっ有栖川くん、何でも頼んでね!」
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あれから渋谷で5グループほど発見し、僕がというより全て有栖川くんがとっちめていた。
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これはさすがに・・と思って、晩飯良かったら一緒にどうだいと誘ったら、ファミレスだというのに『わあ、先生と一緒だなんて嬉しいなあ!』とニコニコ笑顔で返されてしまったのだ。
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「あ、先生、コレとこれシェアして一緒に食べません?良いですよね?ね?ねっ? すみません店員さん!」
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ワクワクとピザだのポテトだの頼んでいく姿は、まだ幼さがあって非常に可愛かった。
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「ね、先生!このカップル用のクリームソーダ、あとで頼んでみましょ!」
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「良いねえ。っておおいそれカップル用じゃん。ストロー途中でこう別れててチュウ〜って一緒に飲むやつだよもう〜!」
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なんて、真顔で言ってくる、ちょっと天然なところがあった。
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テーブルに並べられた料理をモグモグと頬張る有栖川くん。
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「悪いねえ、本当。こんな遅くまで・・。本当に勉強、大丈夫なのかい」
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「勉強は余裕ですよ。この間も全国模試3位だったので。テスト、途中飽きて寝ちゃったんで3位でしたけど、まあまあ良いでしょ?」
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「それに勉強なんかより、先生と一緒に過ごす方がよっぽど学びになるし、楽しいんです。僕」
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正直、学校の子達は超頭良い子か不良かの2択でさ。どっちも僕を歯牙にかけない。元々の子供好き故に生徒指導やってるけど、空回りしてばかり。
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だから、こんな風に慕われると僕はキュウウンと心を鷲掴みにされてしまうのだ。
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本当ね、顔も普通でカリスマ性0の僕にどうしてこんな懐いてくれるんだろうね。
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「・・その、有栖川くん。もし何か困ったことあったり、僕が相談のれることあれば何でも言ってね!駆けつけるから」
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「先生、そしたら実は先生にしか言えない様な相談があって・・これから僕の家に来てくれませんか?たまたま両親が今日は出張で家にいないので。
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・・本当に僕、困ってるんです。あまり人前じゃ言いづらくて・・」
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そんな、こんな良い子に何の問題が降りかかっているんだ。助けなきゃ!
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本当は教員がひとりの生徒を懇意にし過ぎるのはNGなんだけど・・
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こんな素直で可愛い生徒の相談なら、乗ってあげなきゃいけないと思って、僕は引き受けた。
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僕が良いよって言った時のぱああっと嬉しそうな彼を見たら、僕も嬉しくなっちゃってさ。
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訪れた先は、超高そうな一軒家。ここ都内だよな・・?徒歩10分程度でこれって・・
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「・・ちなみにお父さん、お仕事何してる方?」 「医師で病院を複数経営してます」
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ニコと笑って案内された有栖川くん家の玄関は、僕の一人暮らしの家のリビングと同じ広さだった。まじで。
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ちなみに有栖川くん家にはペルシャ猫みたいなやつが2匹いて、多分あいつら僕よりいいゴハン食べてんだろうなって感じの見事な毛並みだった。
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帝国ホテルの一室みたいなリビングを抜けて、有栖川くんの自室へとやってきた。でかい。広い。豪華。
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僕にコーヒーと高そうなチョコ出してくれつつ、有栖川くんは切り出してきた。
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「それでその・・相談っていうのは・・実は恋の相談なんです」
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「え、まあ。それで小森先生に、大人として相談にのって頂きたいなって思いまして。
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・・参考までに聞くんですけど、先生って今誰か付き合ってる人います?」
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「えっいないけど」 「本当に?」 「うん・・まじ・・ゴメン・・」
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「・・誰か気になる人とかいます?先生でも、ぶっちゃけ女子生徒でも」
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「いるんだ。気になる人は」 「え、いや」 「言ってください先生!」 「う〜ん、内緒だよ・・?家庭科の三谷先生。カワイイな〜なんて・・」
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その瞬間、ピシと空気が張り詰める様な気がした。んん・・?
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「先生、大変言いづらいんですけど・・三谷先生、僕の同級生と付き合ってますよ?」 「ええ!!!?」 「しかも校内で4股。相手全部、高校生。若い男好きみたいですけどねえ」 「まじで!?」
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し、知らなかった・・。ショック過ぎて体から力が抜けていく。
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彼は気の毒そうにコクと頷いた。そして僕の手をそっと握って言った。
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「・・という訳でね?三谷先生のことは忘れましょう。
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小森先生、好きです。付き合ってください。僕が幸せにしますから。先生の一生懸命なところが僕は好きです」
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「えっあの、その。気持ちは嬉しいけど、生徒とは付き合えないから・・」
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「い、いや僕はイイ歳した大人で教師でさ。元教え子に手を出すなんて、そんなこと僕は自分を許せないよ」
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「う、う、う〜ん・・その、いち生徒としては可愛がってきたけど、ねえ・・」
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カッコいいなとは思ってます、とか言っちゃいけないよな流石に。曖昧に誤魔化した。
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(あっどうしよう、傷つけちゃったかな、ゴメン、どうしよう。でも、ここで曖昧な態度はダメだ・・!)
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「でもさ、学校ではこれまで通り普通にしてくれたら嬉しいな。・・ごめん、じゃあ僕、帰るから・・またね」
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そう言って立ちあがろうとしたら、手首をグッと掴まれてソファに戻された。
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「先生、ちょっと待って!すみません、最後に一個見てほしい写真があって・・ヤバいのがね、コレなんですけど・・」
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えっ何なに?って有栖川くんの携帯を見ようとしたら。
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グイといきなり引っ張られて彼を押し倒す様な格好になり、キスされた。それからシャッター音。
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起き上がって、その大きな手で携帯をチェックする有栖川くん。
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「先生が俺に無理矢理キスしてるところ」 「・・っ、い、いや、いや、逆だろ!?無理矢理君が引っ張ったんだろ!?」
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「いや?被害者は俺だぜ?俺は未成年の17歳なのに、先生が無理矢理こんなことしたんだ」
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ニヤニヤ彼は言う。ていうか、誰。こんな有栖川くん、見たことない。今までとは全然別人みたいだ。冷や汗が垂れた。
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「ってことでさ、責任はとってくれよな」 「な、何を!?」 「俺の恋人になるってこと」
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「ちなみに俺の言うこと聞かないと、この写真を教育委員会にばら撒くぜ。言ってなかったけど、俺の母親が教育委員会の偉い立場なんだよ」
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これって逮捕!?クビ!?『信じられない教育現場。問題教師を逮捕!』そんな架空の新聞の見出しが頭をよぎった。
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「狙いは何だ、金か!?」 「だから俺の恋人になれって言っただろ。金なんか今更いらねーよ。
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「だから断ってきた先生が悪いんだ。俺が猫被ってる時に素直に付き合うって言えば、俺もイイ子ちゃんモードで付き合ってやったのに。
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「おっおおい教師を呼び捨てにするなお前えええ!!!」
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夕闇に染まる生徒指導室。鍵を締めるとアイツは言った。
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「さ、蛍。昨日の続きだ。ほらちゃんと教えた通りにして」 「・・♡」
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蓋を開けてみれば1番の問題児だった蓮に、僕は今日もイケナイ指導をされている。
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三谷先生が4股してるってのは蓮の嘘だったけど、今はもう良いかなぁって思ってる。
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