モネ×ひかり
ifストーリーです。超短編の暗い話です。
何でも許せる人だけどうぞ!
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「あの日もこんな晩だったよね」
ひかりが言う。柔らさを残す頬をクッションに乗せて、窓の外を見ている。
ベッドがピッタリと窓にくっついた部屋で、窓は大きく外の景色を映し出している。
ここはとある近代的な巨大都市、だった場所。
数年前にたまたま海底の地盤が崩れ、大きく街並みは崩れた。
街は半ば海に沈み廃墟と化している。残った半分の街はなんとか生き延びて、その近代的な光を放っている。生と死の混在する街。
「ねえ。モネってば。聞いてるの?」
「あ、ああ。すまない。聞いてるさ」
そっと後ろから頭を撫でて、そのてっぺんにキスをした。さらさらと細くて柔らかい髪だ。
「ね。あの日もこんな日だったよね」
ひかりはもう一度言う。俺を振り返った。黒目がちな瞳がじっと見つめている。
俺は黙ってベッドそばの時計を見下ろした。午前3時55分。ほのかに間接証明で照らされた室内。ふと深夜に目覚めてしまった俺とお前、2人っきりの夜。
「モネが僕を殺したあの日」
言われて途端に脳裏によぎる殺害の日の記憶。ずっと頭の中に蓋をしていたのに!
「やめろ!やめてくれ!」
そう叫んだらひかりは消えた。
ハッとする。さっきと同じホテルの同じ室内。午前3時55分。ひかりはいない。……そう。もういないんだ。
心臓がバクバクと激しく波打って、心臓発作でも起こしそうだ。
ベッドサイドにおいておいた眼鏡を取ろうとしたけれど、震える指先では床に落としてしまった。
拾うのは諦めた。
自分の手のひらを開いて見つめて、ギュッと目を閉じた。
……数年前のあの日。この半分廃墟、半分繁華街の都市に物珍しさで観光に泊まりに来た日。
『ごめんねモネ。終わりにしたいんだ』
バツが悪そうに、でももう決めたんだとばかりに言われて、俺はおかしくなった。
お前が他の男のところへ行くなんて言うから、かわいさ余ってやってしまった。
この街が悪い。この雰囲気が悪い。そう言い訳をして。
俺だって今でも信じられないよ。ひかり。
俺の一途に愛して欲しかった。
end
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攻めくんが嫉妬でうっかり受けくんを殺してしまい、ずっと後悔してるの性癖マン
霊なのか自分の空想なのか、もう判別がつかないという精神の壊れぶりもオススメ!👍
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