ヤンデレ

【ヤンデレメーカー#16】豹変した犬は寮母に噛み付く

「さ、ほら。藍、まずは洗ってあげるよ今すぐにだ」

逃げ場のないバスルームの中で、強引に洗われる。もちろん服の上からなんで、もうめちゃくちゃだ。

「…ひっ…いや…!」

有無を言わさない力で強引に身体を洗われるのが怖くて仕方なかった。しかもそれに加えて…!

「や、テディ、やめろよ!」

洗うついでに変なとこ触ってきてさ…!濡れて肌に貼り付いた服は、尚更いらない刺激を生んだ。

「あ、や、やだっ!」

「藍、亜蓮にもこんなことさせた?答えてよ」

ゾッとする様な冷たい表情で言われて、首を振った。

やだっていってるのに辞めてくれなくて、力でも勝てないしで僕は我慢出来ずズボンの中で欲を放ってしまって…!

「あ、う…!」

びくびくと跳ねた身体。誤魔化しようもなくて、ジッとテディに見下ろされて僕は心底恥ずかしかった。

「亜蓮にもそんな顔見せた?」

地を這う様な声に、僕はただ首を振った。

「俺だけ?」
「ん…」
「…俺だけ…」

とりあえず満足そうな声を出したのも束の間、突然テディは両手で首を絞めてきた。

キュウと圧がかかる。

「!」
「じゃあさ、亜蓮と別れてよ」
「つ、付き合ってないよ別に…!」
「なら亜蓮に大っ嫌いって言ってよ。もう2度と顔も見たくないって」

僕は無言で首を振った。いやだ、そんなこと。

「どうして!」

嫉妬に染まるテディは僕の首をさらに締めた。
本当に息が苦しくなってきた。

「俺はやっと藍を見つけたんだ!なのに…なのに…!」

テディ、もしかしてこのまま僕のこと殺す気なのか。そんなに?どうして僕なんかにそんなに執着するんだ。

力が更に強まる。だめだ苦しい、もう無理。

「もう寂しいのは嫌だ!」

薄れゆく意識の中で僕はそんな悲痛な叫びを聞いた。崩れ落ちた僕の身体。固い床。

だけど誰かが悲しむ声を聞くのは辛い。とっても。

「藍、藍!」

縋り付いてきたテディ。力を振り絞ってその頭をそっと抱いてやった。

テディはいつもやるみたいに懸命にスウと僕の匂いを嗅いだ。

そして消えてしまいそうな寂しい声でママ、と呟いた。

「…テディ泣かないで…」

僕はそれだけ言うと意識を手放した。

***

目が覚めると、僕はふかふかの布団に寝かせられていた。…けど、場所が問題だった。

バスルームの浴槽の中に強引に敷いた布団。その中に僕はいた。

「藍。起きたんだね」

ビクと身体が震えた。洗い場のところにテディはいた。こっちを覗き込むと、そのエキゾチックな美しい顔をすっごく嬉しそうに綻ばせて彼は言った。

「藍…さっきはありがとう。俺を最後に抱きしめてくれて…あのとき俺には藍しかいないってやっぱり確信したよ」

怖くて何も言えない。

「藍なら俺を1人にしないって分かったんだ」

しみじみと感嘆している様子が伝わってくる…。

「…だからさ、早く俺だけのものになろうねえ。ここでいつまでも2人きりだ」

 

僕はがんじがらめに縛られていたんだ。こんなんじゃ身動きなんか取れない。

亜蓮さん、誰か…。

 

続く

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